横領訴状の書き方や例文・文例・書式や言葉の意味などと記入例

横領訴状の書き方と用途
会社の売上金を従業員が持ち逃げしたなど、横領がなされた場合には、横領をした者に対して損害賠償を請求することが考えられます。まずは請求書や手紙を送付して支払いを求めたり、直接面談をするなどして、横領の事実の有無と支払い意向を確かめますが、横領の事実を否認する場合や支払いをしてこないような場合には、強制執行を行う前提として、裁判手続を利用して債務名義を取得しておく必要があります。
横領訴状の書き出し・結びの言葉
横領訴状の冒頭部分の書式(雛形)です。[当事者目録・請求の趣旨・請求の原因については、別紙としなくても構いませんが、訴訟実務上は別紙として見やすくするのが通常です。]訴状東京地方裁判所立川支部御中平成27年7月30日原告甲野太郎印当事者目録別紙のとおり請求の趣旨別紙のとおり請求の原因別紙のとおり訴額〇〇円貼付印紙額〇〇円この後に別紙を添付します。
横領訴状の書き方の例文・文例01
当事者目録の例文〒000-0000東京都〇〇区〇〇町〇丁目〇番地〇号原告甲野太郎電話番号03-〇〇〇〇ー〇〇〇〇FAX03-〇〇〇〇ー〇〇〇〇〒000-0000東京都〇〇区〇〇町〇丁目〇番地〇号被告乙野花子電話番号03-〇〇〇〇ー〇〇〇〇FAX03-〇〇〇〇ー〇〇〇〇訴訟代理人がいる場合には、訴訟代理人の住所・氏名・資格(弁護士等)・連絡先も明記します。
横領訴状の書き方の例文・文例01のポイント・まとめ
訴訟は、当事者適格を有するもの、すなわち、横領により被害を受けた者(原告)と横領を行った者(被告)の関与が必要となりますので、どの当事者間での紛争なのか明示するために、当事者の情報を記載する必要があります。ここに記載された当事者に限って判決の効力が及ぶとされているため、当事者を特定できる程度でに明確である必要があります。被告の住所については、訴状の送達のために必要となります。
横領訴状の書き方の例文・文例02
横領訴状における請求の趣旨に関する例文1被告は、原告に対し、金〇〇万〇〇〇〇円及びこれに対する平成〇年〇月〇日から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え2訴訟費用は被告の負担とするとの判決および仮執行宣言を求める。判決については確定するまでは強制執行ができません(控訴や上告が可能であるため)が、仮執行宣言との言葉を入れておけば、1審判決が出た段階で仮執行をすることが可能となります。
横領訴状の書き方の例文・文例02のポイント・まとめ
請求の趣旨、すなわち、判決を求める対象を明確に記載します。1項で記載したとおり、金額については、確定金額で記載する必要があります。また、利息や遅延損害金を請求する場合には、その対象期間と割合を明示します。金銭給付を求める場合には、「金員を支払って下さい」というような丁寧語ではなく、強制執行ができるよう「金員を支払え」と記載するようにして下さい。
横領訴状の書き方の例文・文例03
請求の原因に関する例文第1当事者について原告は、昭和〇年〇月〇日創業の〇〇との屋号にて〇〇業及び〇〇業を営む個人事業主である。原告は、被告を、平成〇年〇月〇日、正社員として雇用した。被告は、研修後は、経理担当者として、会計帳簿の作成と売上金の管理に関する業務を担当しており、〇〇(屋号)における売上金については全て被告が管理していた。
横領訴状の書き方の例文・文例03のポイント・まとめ
当事者の属性について説明する部分です。裁判所はどのような当事者の間での紛争なのかについて情報が無いため、前提論点として、この点をまずわかりやすく説明します。横領が成立するには、まず、被告が現金を管理していたことについての主張が必要となりますので、事業における被告の地位や役割をはじめ、被告がどのように現金を管理していたかについても説明する必要があります。
横領訴状の書き方の例文・文例04
第2横領したことについて被告は、上記のとおり、〇〇の現金を管理していたところ、被告は、平成〇年〇月〇日から平成〇年〇月〇日にかけて、合計〇〇万円を自己の遊興費に使用するために〇〇から順次持ち出し、キャバクラやカラオケスナックなどの費用として費消した。この行為は刑法上の横領罪(刑法253条)にも該当する行為であり、到底許されるものではない。
横領訴状の書き方の例文・文例04のポイント・まとめ
どのような手口で横領がなされたのかについて、横領が行われた時期・金額・方法などを特定して記載します。横領の請求が認められるかどうかの一番の核心部分ですので、客観的な証拠(会社が現金を保有していたことがわかる帳簿類)も提出したうえ、その証拠を踏まえた立論を行っていくことが重要です。損害賠償請求ですので、刑法上何罪にあたるかはあまり関係がありませんが、被告の悪質性をわかってもらうために、横領罪にあたる旨を記載しました。
横領訴状の書き方の例文・文例05
横領訴状の最後に書く例文以上より、被告の行為は不法行為にあたり、同行為によって金〇〇万〇〇〇〇円の損害を被ったことから、原告は原告は被告に対して金〇〇万〇〇〇〇円の不法行為に基づく損害賠償請求権を有し(民法709条)、また、これに対する不法行為時たる平成〇年〇月〇日から支払い済みまで民事法定利率である年5分の割合による遅延損害金を請求できる。
横領訴状の書き方の例文・文例05のポイント・まとめ
横領による損害を求める場合、通常は、不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条)をすることとなるかと思います。裁判では、救済を求める法律的根拠を明示する必要がありますので、法律的根拠を記載します。この点、民法の条文の指摘等が無ければ、裁判官はどういう法律的根拠に基づく請求かがわからないため、訴状審査の段階で却下されてしまうこともありえます。
横領訴状の書き方で使った言葉の意味・使い方
訴状とは、訴えを提起するために裁判所に提出する書面のことです。判決を求める訴訟と、話し合いを求める調停など各種法律的手段がありますが、訴訟を求める場合には、訴状を提出することとなります。その中で請求の趣旨(裁判の対象、要求内容を簡潔に示したもの)と請求の原因(請求の趣旨を裏付ける理由を説得的に書く部分)に分けて記載する必要があります。
横領訴状の書き方と注意点
裁判所には管轄がありますので、管轄を間違えないようにしましょう。事物管轄として、160万円以下であれば簡易裁判所、160万円を超える場合には地方裁判所が管轄になります。地理的管轄として、被告の住所地、義務履行地、不法行為地などの種別があり、それに伴って訴えを提起できる場所が異なってきますので、その点も注意が必要です。横領訴状の場合、通常は原告住所地でできるものと思います。
横領訴状の書き方のポイント・まとめ
横領が行われたことについて、客観的な証拠と共に簡潔かつ説得的に論述するのがポイントです。訴状に記載しなければならない事項が民事訴訟法・規則で定まっていますので、この点を抜かさないようにしましょう。また、民法709条に該当するのに必要な事実(不法行為、損害の発生、因果関係等)についても意識して記載しましょう。訴額に応じて必要となる印紙が異なってきますので、その点も注意しましょう。
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