レポートの書き方や例文・文例・書式や言葉... | 文章や手紙などの書き方　書き方ラボ

種々の報告をレポートの形で行うことがあります。学生の授業の宿題、学校や研究所の実験報告、職場で上司から調べるように指示されるもの、新聞や雑誌の記者が取材して得た記事などのレポートは、さまざまな場面で取り上げられます。その役割は多岐にわたり、学習や業務を遂行する上で欠くことができません。ここではいくつかの例文をあげてその書き方を説明します。

レポートは、題名のあとにレポートを書く目的、経緯、ねらいから書き始めます。そして、まとめ、引用した資料・文献・本などのリストが結び部分に並びます。こうした形式はレポートの提出の目的や趣旨によって異なりますので、一概に言うことはできませんが、文字通り書くべきテーマに沿った内容が必要かつ十分に盛りこまれているか、そこが重要なポイントになります。

例１）（題名）ニトロベンゼンの合成（目的）ベンゼンより硝酸と濃硫酸を用いたニトロベンゼンの合成（操作）操作１：濃硫酸１ｍＬを試験管にとり、濃硝酸１ｍＬをと少量ずつ加えてよく振り混ぜながら…。操作２…。（結果と考察）湯に５分間ほど浸けておいたが、右図のように２層に分離し、ベンゼン臭がした。…十分に加熱することができずに、試験管の底に観察されると想定されたニトロベンゼンが生成せずに、実験は失敗したものとみられる。ニトロベンゼンの生成には温度が重要であり…。

化学実験のレポートの例です。実験の場合は例に示すように、ほぼ所定の書式に基づいて作成します。題名は言い切りの形が多いです。一連の実験操作を伴いながら書き入れますから、前もって雛形に書き入れられるように準備しておき、実験後に結果と考察を加えます。そうすると実験がスムーズに進捗します。記入後すぐに提出できます。自分なりに工夫した点や気づいたことをもれなく記入すると得点が得やすいです。

（題名）飛騨南部地区の古民家の保存状況調査（目的）飛騨は、独特の造りの家屋が300年以上現存する特別保全地区と並んで、その周囲にはそれに匹敵する古民家が点在している。その保存状況と再生割合の調査を行い、当該地区の古民家の現況を知る。（調査結果）飛騨南部（○○地区）の半径5ｋmの範囲を調査対象とし、2014年3月～5月の3ヶ月間で、当該自治体の協力をもらいながら、住宅地図上の民家を訪ねる形で住民より聞き取り調査を行った・・・。今回、調査の対象となる家屋は、・・・で、その結果、・・・。

社会科学系のレポートの一例です。関係する自治体とともに調査報告の形で、教師と学生の協力を得ながらまとめたものです。調査対象やその方法を明示し正確を期します。調査データを収集し、わかりやすく整理して図やグラフとしてそれらを説明する形で記します。調査目的に答える内容を柱に据え、調査結果から見えてくる傾向や、指摘すべき点を分析して明らかにします。

（題名）シックスクールとそれに伴う症状について（調査内容）シックスクールとは、学校環境における主としてホルマリンやトルエンなどの揮発性化学物質の蒸散に伴って起こる生体過敏反応の一種で、頭痛やはきけ、めまい、せきなどを引き起こす。重篤な場合にはぜんそく等の過敏症の発作が起こり、学校薬剤師や教員は、ともに…。（所見）化学物質を含む文具、教具や建材には注意を払う必要がある。長い間、揮発性物質に曝されると症状が悪化する事例が多いため、学校建材を設置する行政も注意を喚起する必要があると考える…。

保健士養成課程の学生向けレポートの一例です。調査課題が与えられ、期間内で調べて所見を付けて提出する形がよく見られます。調べた本やサイトから得た情報を照合し、確かな情報を収集し自分なりの言葉でまとめます。与えられた課題に関してわかりやすく的確に記述することを心がけます。課題の疑問点や問題点、メリットとデメリットなど物事を多面的に捉えられているかもポイントになります。

アンケートは日ごろ健康が気になっていると答えた成人50名（男女同数）から、紙上の以下の質問に無記名で答える形で回収した。質問は10問からなり、1問目は・・・。その結果、質問１の「日ごろから健康のために運動をしていますか。」という質問に対して55％の人が運動らしい運動をしていないと答えている。さらに・・・。以上のことから今回の調査から、飲料タイプの毎日摂るタイプの健康食品なら購入しても良いという傾向が強い（７１％）ことが判明し、その方向での商品開発を遂行することを提案する。

企業のアンケートに基づいた、商品開発のためのデータとなるレポートの一例です。このレポートではある嗜好をもつ人の傾向を探り、その情報を商品開発に取り入れようという企業の意図があります。したがって、端的に目的に対する結論が明確書かれていることが必要です。企業活動においては合理性が求められ、採算の合う事業運営に欠かせません。したがって、調査はその目的のために綿密に練られたもので、結果報告のレポートも単刀直入で説得力のあるものが求められます。例えば情緒や作法を書く手紙などはその対極にあるといえます。

（プノンペン２２日＝大沢芳美）カンボジアのメコン川東岸地区では、３月下旬から行ってきた、国連ＰＫＯ部隊とＮＧＯによる地雷除去作業が、現地時間の２３日午前までに全て完了すると、現地に駐留する国連広報部が報告した。一昨年の停戦合意以来、戦闘活動は終息しており、治安も大幅に回復している。警察１万人による護衛の中、北部に避難していたメコン川東岸地区の第一次帰還グループ住民３４０人は、バスに分乗して現地入りすることになった・・・。

通信社の特派員レポートの例です。校正したのち、新聞・報道各社に配信され、記名入りのレポートで記事に責任を負わねばなりません。いつどこで誰が何をといったニュースのアイテムを、現地の証言や取材をもとに事実の積み重ねとして練り上げていきます。何よりも正確さが第一とされ、必ず取材元を明らかにし、記事の裏打となる情報を複数の取材元から得るようにします。特に数字や名前の表記ミスは致命的とされますので、しっかりと確認する注意が必要です。相反する主張の事件などは、両方の立場の取材を取り、併記する必要があります。

上の5つの例で見てきたように、レポートにはそれぞれそれを報告する目的があります。学習用途だったり、技能習得のためだったり、企業活動のためだったりします。そのそれぞれにおいて、必要とする内容はさまざまですが、共通することは、使用する言葉の正確さです。あいまいな語はどのレポートにおいても重要でなくむしろ不必要とされることが多いです。したがって形容詞や副詞などの語の使用は極力避け、数値や割合で表すことが可能ならそちらを用いるようにします。

いずれレポートも事実の記載という点で、一貫しています。事実を記載する場合、それが本当か証拠が必要です。それは証言だったりもします。必ず複数の情報源から確証を得て、事実として記すことが必要とされます。このことを良く認識してレポートを書く練習をします。それから事実と意見を混同してはいけません。慣れないうちは、事実の部分と意見の部分を仕分けすることも必要です。

レポートの書き方をまとめましたが、実際にはこの類型にまとめられないものが多くあるでしょう。その場合も「書き方の注意点」で述べたことは共通です。このことに注意を払ったレポートは、実用にかなうものとなります。それからわかりやすいことも重要です。冗長な文は何を述べたいのか、わからなくなってしまいます。したがって、事実を示してから証拠を書くことや結論を書いてからその理由を書くことはそれを避ける一工夫です。